難病・特定疾患は「経過が長く」「進行性」のものや、「徐々に体力を奪うこと」が多いので…

必要になる公正証書の例

1.公正証書遺言

遺言書を公正証書にしてあると、

自分で書いた時に必須の家庭裁判所での検認手続きをすることなく、

相続発生時にすぐに確実に解約・名義変更ができるようになります。

作るときに費用はかかりますが、後々の手間と時間等を考えると、費用対効果はズバ抜けています。

 

2.任意後見契約

「私が意志決定が出来なくなったら、私の代わりに、私が生活していけるよう、後を宜しく頼むよ」という契約を、生前に作っておくことです。

だれが後見人になり、いくらかかるかわからない「法廷後見人」とは違って自分で選べます。

 

(※必要時:財産管理委任契約)

年をとったり、事故や病気等によって、いつまでも自由に銀行に行けるわけではなく、行動に制限がかかることもあります。

そのたびに委任状や本人確認等が必要となりますが、そんな時に、この契約書をもって金融機関窓口にて解約・引き出し手続きを、頼んだ人ができるようになります。


もちろん遺言書を。

難病等進行が予測される病状の場合、「進行は緩やか」と言われている疾患でも、いずれ進行していきます。
その進行のスピードは誰も予測できないものです。
「この病気は人と話せなくなる病気じゃないし」とお考えの方もいらっしゃいますが、その病気に付随した合併症等での病状の悪化も心配されます。
作成する時期は、見逃さない、甘くみないことが大切です。

なぜ任意後見契約が必要なのか?

 公正証書で「任意後見契約書」を作成すると、委任者と受任者は契約関係になります。…そして、いずれの日かに「任意後見契約を発動」する日まで、契約状態を保つため、公正証書を作成し「法務局」に登記申請をしておきます。(申請は作成した公証人が行ってくれます)。こうすることで「この人には任意後見人がついているよ」という保証策を取っておけるのです。

死後事務委任契約も◎

亡くなった後の役所への届け出や手続きなどは、窓口では「親族がいるならばその人がするように」言われます。

葬儀なども親族から「血のつながりのない人が仕切るのは許さない」とされたり、面識がない場合などは参加や家へあがることも拒否される可能性があります。

万が一、「親族でない人」に依頼をしておきたい場合には有効でしょう。


上記文書を一式作った場合のメリット

難病や進行性の病気で、壁になるのが「治療」と「経過」です。

医師は経験を踏まえたうえで、治療の提案やその後の予測等話してくれていますが、

現実問題、これは人それぞれでしょう。


一時的に調子がよく見えても、その後負荷がかかり、疲れてしまったり。

進行とともに新しい薬等初めてみたら、自分には合わず、寝込んでしまった、など。

 

今、最良の生活を守っていくために、治療は後回しには出来ない状況も予想されます。

 

つまり治療を前向きに受けていくためにも、

その人が後から「あの時、作っておけば楽だったな」と後悔しないよう、
「体調のいい時期」に作っておくしかないのです。

 

上記文書を先に作成しておくことで、(今の状況では全く困っていなくても)、

病気の進行とともに、外出ができなくなり、介護タクシーが必要になったり、

誰かに頼まなくてはならないのにとても大切なこと(例:銀行等での生活資金の引出や、契約の解除等)については
自分で選んだ、一番理解のある者に託すことができます。
そして、公正証書遺言でが自分の死後の財産分与の方法を指定しておくことができるのです。

 

そして、これらの文書は公証役場という正式な機関で作られる文書であるため、正当性が保証されています。

 

上記文書を作らなかった場合のデメリット

金融機関等は本来は「代理」で動く際には、その都度「委任状」等がなくてはならず、また、委任状があっても多額の引出や定期解約等は、預金保護の観点からも本人以外は不可能です。
その為、自分の体力は衰えて、車椅子やストレッチャーになったりしてしまった場合でもその都度、本人が出向かなくてはならなくなる可能性が出てきます。

 

作成にあたって注意・配慮すること

何より、作成者ご本人の「気力」「体力」が保たれている時期を見極めることが大切です。

作成しよう、と思った時に慌てて士業等をお探しになるよりも、先に士業の相談先は探しておいて、
いざ作ろうと思った時にスムーズに進めていけるような前準備もいいと思います。

先延ばしにせず、作成することも大切です。
時間と病気の進行はまってはくれないのでその時に最前の策を一緒に考えていきましょう。