遺言書7つの誤解 その2:『うちは仲がいいから遺言は必要ない』

誤解2:『うちは仲がいいから遺言は必要ない』

そうですね。家族・親族関係がよいのは素晴らしいことです。
たしかに今家族の皆さんは仲良く暮らしているでしょう。

 

しかし数年後、それぞれが独立したり、各家庭を持ち、親族が増えて、孫ができて、事業も営んでいて…
家族関係や社会の状況が今と大きく変わっているかもしれない。

意見を出す人が多くなるかもしれない。

各家庭の経済状況が順調じゃないかもしれない……ことを考えてみてください。

というのは、子供たちは“法定相続分”という平等に相続する権利を持っており、
もし
法的に有効な遺言書がなく親が亡くなった場合、それを基準に遺産分けの話し合いをすることになります。

 

例えば子供が3人いて3000万円の預貯金があったとします。

は同居して親の世話や介護もしてお葬式をしてお墓も守っていく、
次男は地方で結婚して家族がおり年に1回孫を連れて遊びに来る、
末弟はフリーターで連絡もなく所在もよくわからない…この3人は平等に1000万づつ分けられるでしょうか。

いろいろな人が口を出してくる!  ガアガア
いろいろな人が口を出してくる!  ガアガア

長男の思っていること。

「今までずっと親の面倒みてきて大変だったけど、これからこの家も先祖代々のお墓も守っていかなきゃならないんだ。弟たちなんかたまに顔を見せにくるだけで、ましてや一切電話もしてこないでいい年していまだに定職にもついてない。」

 

次男の思っていること。

「母さんはうちの子供と会うのが本当に楽しみだったし、遠いけどなるべく実家に帰ってできることはした。兄貴は苦労なく住むところも手に入れていいよな。日々の生活費だって親のお金でまかなっていたし。うちなんか定年まで家のローン払い続けるのに。」

 

末弟の思っていること。

「兄貴たちはちゃんと就職して家も家族もあっていいよな。俺なんかこんなご時世でどこも正社員なんかとらない時代だよ。家賃と生活費で手いっぱいだけど、三人で1000万づつ分ければかなり助かるなあ。」

でも、これはどれもその立場からすれば正しい意見です。 


また話を聞きつけたその配偶者や親族、はては他人が野次馬のように口を出してきます。

 

長男妻の思っていること

「家と貯金は当然住んでいる私たちのもの。お義父さんとお義母さんのお世話でどれだけ大変だったとことか。私はろくに出かけられなかったし、病院の付き添いやら身の回りのお世話で夜もろくに眠れなかったこと考えたら3000万が5000万でも安いわ。」 

 

次男妻の思っていること

「うちはローンと子供たちの教育費で今後いくらかかるんだか。年金だってもうアテにならないし、お義兄さんのところは家もお金もあるし、あの家はいらないから預貯金は全部もらっていいでしょう。」

 

末弟知人の言うこと

「法定相続分ていうのがあって、子供は必ず1/3はもらえるんだよ。この前TVでもやっていた。

ネットで調べたら、特別受益とかいうのがあるらしい。ほかにその家も売ってみんなで分けるのが一番いいって前に知り合いが言ってた。」

……もうめちゃくちゃです。

お葬式後、話し合いの段階で誰かが上のようなことをポロッと出そうものなら、実印押すどころではなくなります。

 

……でも…法的に有効な遺言書がない場合、
預貯金の解約、家土地の名義変更や売る時にはこの兄弟
全員の署名捺印と印鑑証明書が必ず必要になります。


逆に!

遺言書があると、相続人全員の話し合いや署名・捺印等がいらないため、

相続手続き・相続人の負担が格段にスムーズになります!!

(あまり知られていませんが、実はこれが公正証書遺言最大のメリットです。)

 

 →→誤解その3 「遺言書を書くにはまだ早い」

 →→相続放棄で絶対に気をつけるべきこと