自社株共有相続についての誤解

「相続人が複数あるときは、相続財産はその共有に属する。」(民法898条)

簡単にいうと

相続人が3人の場合、遺産分けについての合意、分ける手続きが終わるまでその遺産は3人の共有となります。

 

例えば、不動産であれば3人の合意、名義変更があってはじめてその家土地を建て替えたり売ることができます。

逆に言うと、相続人の誰かがその家土地を使っても他は文句を言えない、ということです。

 

現金としてのこっていたものも共有。

300万円を100万円ずつ自動的に分けられるモノではないのです。

 

ただし、預貯金は可分債権といって自動的に分けられるもの・・・のはずなのですが、

 

金融機関側は全員の書類がないと払い戻しに応じてくれません。(なんだかややこしい話です)


 一番問題なのは

 自社株共有相続についての誤解です!

 

「分割が終わるまでそれぞれが法定相続分で共有する」とは、

亡くなった先代社長が3000株を所有していた場合、

相続人3人それぞれが1000株ずつ持つ・・・

 

 

のではありません!!

 


1株1株の3分の1ずつを共有しているものが3000株あるということになります。

ということは1人で1000株の議決権を行使できるということではないのです。

 

この3人の相続人A,B,Cの場合、

Aが後継者の予定だったとしても、BとCが組んでAに反対し、多数決で議決権を使えば、

3000株すべての議決権をBとCで決められることとなります。

 

別のケースで

Aが相続前から800株持っていて、残りの2200株が相続対象だったとしても

BとCで3分の2以上の議決権を持つことになります。

 

3分の2以上の議決権を持つということは

普通決議(役員選任解任など)はもちろん、

 

特別決議(定款の変更、営業全部譲渡、解散、合併、任期中の役員解任など)ほぼすべての議決が可能になります!!

 

 

この状態が遺産分けが終わるまで続き、

後継者でない相続人の数が多い場合には、各役員をやめさせることもできます。

 

その結果、後継者が経営権を失う可能性もあります。

 

 

 →→経営者が必ず考えなければならない相続の話

 →→事業承継の重要性  

 

 

 →→【目次:事業承継特集】