故人の借金を調べるには?

人が亡くなって相続の手続きをする際に注意しなければならないこと・・・

それは故人の財産がどれだけあるか、どう分けるか、ですが

この財産には土地や建物・預貯金・株と同じように、借金や保証といったマイナスの「負債」も入ります。

 

亡くなる前にわかっていれば少し問題は楽になるのですが、

いかんせん借金のことですからあまり言いたくないことだったり、

本人でさえ把握していないものもあったりするかもしれません。

 

 

 

 1.保管書類・郵便物の確認

 2.通帳明細の確認

 3.個人信用情報の開示請求

 4.連帯保証人になっていた場合

 5.負債が多かったら・・・

 6.結論

 

1.保管書類・郵便物の確認

 

まずは身のまわりの情報から整理していきます。

 

借り入れをするには金銭消費貸借契約をするので

だいたい「借用書」などの契約書があれば借金があったということになります。(すでに全額返していた場合も含む)

 

一番わかりやすいのは、現在の返済状況や残高などの書いてあるものを定期的に受け取っている場合もあるので

〇○信販や〇○ファイナンスといったハガキや封筒などが残されているはずです。

 

また、その方が亡くなる前後から返済が滞るので3か月もすれば督促状等の重要書類が届くはずです。

これらが見つかった場合にはその差出先へ内容の確認をします。

 

 

2.通帳明細の確認

 

亡くなった方の銀行通帳を記帳、また通帳がない場合には取引明細書を発行してもらいましょう。

 

定期的な引き落としや決まった額の引き落としがたびたびあるようなら分割返済をしている、という可能性が高いです。

振込先も記載されているはずなので取引先はわかりやすいでしょう。

 

ローン会社生命保険の月々引き落としである可能性もあるので一概に借金だとは決めつけられませんが。

 

 

3.個人信用情報の開示請求

 

銀行や信用金庫などの公的金融機関はもちろん、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者からの

借金等の個人情報は個人信用情報機関にデータが登録されています。

 

つまり、「誰が」「どこから」「いくら」借金をしているのかという情報はすべて記録されていて

この機関に確認すればすぐに借金の内容がわかるようになっています。

 

だから、A社から借金をしようと申し込む際に、B社の借金を隠していてもすぐにばれて審査で落ちる、というわけですね。

 

この機関に故人の借金を調べる「開示請求」をするわけですが、

これができるのは一般ではその本人だけであるため、

自分が相続人であることを戸籍等で証明したうえで開示請求をすることになります。

 

また個人信用情報機関は3つあり、全部を調べなければわからないこともあります。

銀行や信金、クレジット会社、消費者金融など種類によって情報の取り扱いが別になっているためです。

 

・一般社団法人全国銀行協会(全銀協)~銀行・信用金庫データ

Tel. 0120-540-558

 

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)~クレジット会社データ

Tel. 0120-810-414

 

・株式会社日本信用情報機構(JICC)~消費者金融データ

Tel. 0120-441-481

 

 

4.連帯保証人など

 

亡くなった人が過去に知人の連帯保証人になっていた場合はその時点で判明しないことが多いです。

しっかりした契約であれば貸した人、借りた人、連帯保証人それぞれが所持するように3通契約書を作りますが、

なにせ知り合いに頼まれて・・・などと内輪で勢いでサインしている場合が多いです。

 

『ナニワ金融道』あたりだとサインさせてその場で契約書を取り上げてますね。

 

契約書などが残っていない場合、のちのちに判明して数百万、数千万レベルでの思わぬ請求が来ることもあります。

 

こればかりは亡くなる前にご本人や知人等から直接聞いておくしかありません。

中には「死人にクチなし」とばかりに嘘を言う人も出てきますから。

 

 

5.負債が多かったら・・・

 

預貯金や株・不動産等のプラスの財産よりも

負債や借金のマイナスが多かった場合には相続放棄も考えなければなりません。

 

しかし、相続放棄をするとそれらの預貯金や株、不動産の財産を相続する権利も失います。

そのかわり未払いの病院代や税金等、亡くなった方が払うべきだったものは払う必要がありません。

 

亡くなった人の財産に、今同居している自宅や代々守っていくべき土地等がある場合は

厳しい選択を強いられることになりますので

プラスの財産、マイナスの財産それぞれの内容と額をよく考えて決める必要があります。

 

 

6.結論

 

「相続放棄」は亡くなってから3か月以内に家庭裁判所に申述するのが原則です。

 

亡くなって3か月、というには本当にあっという間でよく考える時間もないのが現実です。

実際だと、上記の2~3か月してから来た連絡に対応していてはまず遅いでしょう。

 

多くの人が勘違いしていますが、

相続人間で「私はいらない」と言ったりハンコを押したりするのは相続放棄ではありません!!

この場合、財産をもらっていない人でも必ず借金を払う義務があります!

 

本当の「相続放棄」は裁判所への申述・受理です。

 

もし、誰かが亡くなって預貯金がかなり少なかった場合は、

手間や労力、のちのちの問題も考えて正式に家庭裁判所に「相続放棄」をするのが賢明かもしれません。

 

 

 →→相続放棄で絶対に気をつけるべきこと

 →→相続放棄とは