養子縁組と相続税 その2~デメリット

養子縁組は税金面ではずいぶんメリットがある、という話はしてきました。

 

ところがそれが

かなり年をとってから、とか養親が死ぬ直前に、となると話が変わってきます。

今さら兄弟が増える、というとまどいはもちろん

相続人が増えることで自分の相続分が減るわけですから、気持ちよく思わない人がいても当然です。

 

 養子縁組におけるデメリット

 1.相続税の優遇制度を使えない可能性

 2.孫を養子にすると相続税が2割増し

 3.無効になるケース

 4.一番の問題点

 

1.相続税の優遇制度を使えない可能性

 

他の相続人が知らなかったり、納得していないと

遺産分けの話し合いが、相続税の申告期限である10か月以内にまとまらないこともあります。

 

すると奥さんはほとんど相続税をはらわないでよい、とか

同居している人がひきつぐ実家の土地は8割減の計算にできる、などの

相続税の優遇制度を受けられないことになります。

 

 

2.孫を養子にすると相続税が2割増し

 

相続人が子や親の1親等でない場合

相続税は2割増しになります。

孫養子は1親等ではない、とH15年の税制改正で決められました。

 

 

3.無効になるケース

 

また認められないケースも考えられます。

 

養子を取る側と養子になる側、お互いの意思がない場合

とか

息子のお嫁さんとか孫とちがい

まったくの他人や遠い親戚など、税金対策としてのみ名前を借りたような場合

養子にする合理的な理由がないということで認められないこともあります。

判断が難しそうですね。

 

 

4.一番の問題点

 

相続人が増えれば増えるほど自分の取り分が減るのですから、

問題にするのはもともとの相続人であり、リークするのもその人たちです。

 

養子縁組したその時点ではボケが始まっていた

とか

相続税を安くするためだけのもので親子関係になるような理由はなかった、といった具合です。

 

だいたい遺言書に関する訴訟が起きる時と似たパターンです。

 

結局は内部から。

相続の取り分に不満がある人ですね。

 

相続税を安くしたい、ということで養子縁組をするにしても本人たちは当然、

他の子ども達の了承がないとあとあと問題になりやすいので

税金が安くなるはずだったのが裁判費用や結果取り消しなどで逆に損してしまうことも考えられるわけです。

 

私論ですが、お金の面から相続対策をするとそれ以上に失うものが大きいことがよくあります。

 

相続は一生に1~2度関わるかどうかのもので、

その後の家族関係や親族の付き合いに大きく影響してきます。

 

お金で買えないものって・・・?

 

一度よく考えてほしいです。

 

 

 

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