親族間でお金を借りる場合と相続

親からお金をもらう場合には、当然ながら贈与税がかかります。(110万円を超える場合)

 

また親子間であったりするので、貸し借りの内容や返済義務が曖昧になることがあります。

(もともとお互いちゃんと返す概念がないことも多いですが・・・)

 

このような場合には、貸した・借りたの関係ではなく、

あげた・もらったの関係であるとみなされてしまい、贈与税の対象となります。

 

またそれが曖昧なままどちらかが亡くなってしまったりすると

贈与税の申告漏れや相続財産への加算などと複雑なことになってきます。

 

贈与とみなされないためのポイントも含め、みていきます。

 

 

1.契約書を作成する

2.相場を考える

3.可能な返済期間

4.契約書通りに返済する

5.収入のない人が借りる場合 他

 

1.契約書を作成する

 

親子間であっても借用書もしくは金銭貸借契約書を作るようにします。

契約書には、金額・返済期間・金利・返済方法等を記載(印紙の添付も)します。

 

まずこれがなく、ただの贈与とみなされると

前述のように相続税申告において指摘など複雑になる上に

遺産分けの話し合いでは、生前贈与部分も加算。

&すでにその人がもらったものとして計算するため損することになる場合もあります。

 

2.相場を考える

 

お金を借りる場合には金利を支払うのが原則です。

その金利も世間相場に応じたものが望ましく、最低でも1%程度の金利にした方がよいでしょう。

 

親族間の取引で、不動産などを相場よりかなり安く売ったりすることが多々ありますが、

その差額部分は贈与とみなされたりするので注意が必要です。

 

3.可能な返済期間

 

特に親の年齢を考えて返済期間を決めましょう。

80歳の父親に30年で返済するという契約だと、完済時の父年齢が110歳となってしまい、

判断能力がないのはおろか、死んでいる前提での契約では常識的な貸し借りではないでしょう。

 

ちなみに返しきれなかった残額は

亡くなった人の貸し付け金として相続財産に組み込まれ、

遺産分けの話し合いの対象となるので、「払わないで済んだラッキー」とはなりません。

 

4.契約書通りに返済する

 

せっかく契約書を作っても実際に返済していなければ意味がありません。

返済する意思があっても証明できなければ、もらったものとみなされてしまいます。

 

また現金で返済をするよりは、銀行口座を通じて返済するほうが

履歴として証明できるので振り込みなどを利用して返済することが望ましいです。

 

今、世間ではキャッシュレス化を進めていますが、

実のところは、口座を通して流通が確立すれば

すべて調査できるので、税金逃れがなくなるという国の考えです。

(いちばん確実な追及ができないのが、結局は現金だということです)

 

ですから後ろめたいことがないのならば

なるべく口座を通じて何でも行うようにした方がよさそうです。

 

5.収入のない人が借りる場合 他

 

収入がない専業主婦のような人の場合、預貯金などがなければ返済能力があるとは言えません。

 

言いかえるとご主人が亡くなったときに、その奥さんが専業主婦であって、

実家の相続でたくさんもらった、とか株で大もうけした、などの事実がないのに

多額の預貯金がある場合は贈与があったもの、もしくは夫の名義預金としてみなされます。

(税務では親族の通帳履歴もすべて調査されています)

 

また預金がない人だからこそ

月々の返済金額の少ない無利息、長期間の契約になると思います。

 

しかし、貸し借りという視点から検討すれば

一般的な契約内容と比べ現実離れしたものとなるため、

やはり課税上は

このような貸し借りは「贈与」もしくは「名義預金」として取り扱われる可能性が高いのです。

 

いろいろとありますが、

もし最初から貸し借りとして現実的ではないと思われる場合には、

住宅取得等資金贈与の特例、相続時精算課税制度等を利用することが望ましいでしょう。

 

「相続対策」と一言でいっても様々なものがあります。

貸し借り、贈与、養子縁組、資産組み換えなどをはじめとする提案をする人がいるかもしれませんが、

お金や節税ばかりを最初に考えていくと

のちのちお金を払うことですませればよかった・・・という想定外のことが起きますよ。

 

 →→相続対策の優先順位

 →→名義預金はどうなる