きっと勘違いしている経営承継円滑化法

事業承継の自社株の移行には多額がかかる!ということで約7年前に始まった「新事業承継税制」。

セミナーも各地でたくさん行われ、これでうちの会社も安心だ、と思った経営者の方も多いと思います。


が!フタを開けてみるとそのハードルの高さ、使い勝手の悪さは・・・・・・(教育資金の一括贈与なみ)

いまだ適用になったのが2000件レベルということが物語っています。


リーマンショックの影響もあり、事業承継どころか会社存続をすることで手いっぱいとなった現状などを受けて、

それを使いやすくするために25年度から徐々に要件が緩和されてきていますので順に確認してみましょう。


 1.事業承継税制とは

 2.利用法

 3.会社の要件

 4.先代経営者の主な要件

 5.後継者の主な要件

 6.納税猶予の継続要件

 7.その他の改正点

 

1.事業承継税制とは

 

中小企業の後継者が、

現経営者から自社株を承継する際の相続税(80%分)・贈与税(100%分)の納税猶予の特例制度です。

多くの方が間違えているのですが、ここでいう自社株はすべてが納税猶予の対象になるわけではありません。

発行済み株式総数の3分の2まで、つまり後継者がすでに発行済み株式の3分の1を所有していた場合、残りの3分の1しか納税猶予の対象にはならないということです。

結局残った3分の1部分に関しては資金が必要となるわけです。大きな落とし穴です。

 

 

 2.利用法

 

・「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、円滑化法)に基づき、会社の要件、後継者の要件、先代経営者の要件を満たしていることについての「経済産業大臣の認定」をうけ税務署に申告する。

平成25年4月から「事前確認」を受けていなくても制度利用が可能になりました。

しかし、「事前確認」を受けてはいけないわけではないので、できるならした方がよいです。

あてにしていたのに、その時になってだめでした、は危険ですので。

 

・相続税、(もしくは贈与税)の申告期限までに、

納税が猶予される相続税額(贈与税額)および利子税の額に見合う担保を提供する。

これも大変です。

 

 

3.会社の要件

 

・会社法の定める非上場の中小企業であること。
・風俗営業会社ではないこと

・資産管理会社ではないこと。
・従業員が1名以上いること。

 

ここはほぼクリアできます。

 

 

4.先代経営者の主な要件

 

・会社の代表者であったこと
・相続開始または贈与直前において先代経営者およびその同族関係者で総議決権数の過半数の株式を保有し、

 後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を持っていること
 

贈与の場合、役員退任が要件でしたが、

平成27年から、代表者を退任するだけで有給で残ることができるようになりました。

 

以上もだいたいの会社でしたらクリアできるのでは。

 

 

5.後継者の主な要件

 

・会社の代表者であること(相続の場合、相続開始から5か月後)
・後継者および後継者の同族関係者で総議決権数の過半数の株式を保有し、

 これらの者の中で最も多くの議決権数を持っていること

・贈与の場合、役員等の就任から3年以上経過した20歳以上であること

後継者は親族に限られていた枠が平成27年から外れたのでかなりハードルが下がりました。

 

以上の要件を満たしている場合、納税猶予についての手続をとれば猶予が受けられます。

また主に以下の要件を満たせば、継続して納税が猶予されます。

 

 

6.納税猶予の継続要件(申告期限後5年間)

 

・後継者が会社の代表であること

 

・5年間雇用の平均8割を維持すること

このご時世、8割という数字が最大の問題だったかもしれません。8割以上ではなく平均に緩和されました。

直前に、裏ワザ(首切りではなく)を使って8平均を維持できるようにします。


・自社株を引き続き保有し、後継者が筆頭株主であること

5年を経過した後は、相続した自社株式を譲渡せず保有していれば猶予が継続されます。

そして後継者が死亡した場合などは、猶予されていた税額の納付が全額免除されます。

 

・毎年税務署に継続届出書を提出。期間以降は3年毎。

 

 

7.その他の改正点

 

・要件適用外になった際の利子税負担を軽減、免除
 これまでは猶予されていた相続税に加え、利子の支払いも必要でしたが、

 5年間の猶予期間後は利子が免除されるようになり、税率も2.1%から0.9%に下がりました。

 

・事業の再出発に配慮
 納税猶予額の全額免除は、後継者の死亡または会社の倒産にのみ適用されていましたが、

 民事再生・会社更生などの事業再生の際も猶予額の一部免除が受けられるようになりました。

 

・経営者の債務・葬式費用の控除の変更
 経営者の債務・葬式費用は自社株から控除(相殺)のため相続税の猶予税額が少なかったのですが、

 自社株以外の相続財産から控除に変更になり、猶予額が多くなります。 

 


いかがでしたでしょうか。

これから景気も良くなり、利用する会社も増えればよいのですが、なかなか要件や手続きが複雑です。

 

事業承継の概要 代表の地位編

中小企業経営者が必ず考えなければならない相続の話

事業承継のための5つの柱

 

 

→→【目次:事業承継特集】

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コメント: 1
  • #1

    Annette Sharrow (木曜日, 02 2月 2017 10:41)


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