行方不明の相続人

遺言書がない場合に、遺産分割するには相続人全員の話し合いが必要

相続人の中に行方不明者、音信不通者などを除いて進めても無効になります。

 

したがって

相続人の1人と連絡がつかず、必要書類に署名捺印がもらえないと

預貯金などの解約払い戻しや不動産の名義変更もできないことになります。

 

不在者財産管理人の選任

 

不在者財産管理人とは、家庭裁判所によって選任され、

そういった行方不明者に代わって遺産分けの話し合いに参加し、財産を管理する権限を持つ人です。

選任されるのは不在者と利害関係がない人で通常は弁護士が選ばれます。

(申立~選任 約2か月)

 

まず申し立てには住民票の住所に本人がいないことを証明しなければなりません。

(手紙を出しても返事がないだけ、とか連絡がつく海外在住者は不在者ではありません。)

 

申し立てには、申立費用とは別に20~30万円の予納金を裁判所に納める必要があります。

なお、予納金は財産が十分にあれば還付されますが、財産が少ない場合は戻ってこないこともあります。

 

複雑かつ時間とお金がかかる! どうせ弁護士登場でしょうし。

 

 

その後の遺産分割協議

 

その内容としては成年後見人の時と似ています。

不在者の財産を守るのが仕事で、家庭裁判所の許可が必要になるため

原則として法定相続分に従った遺産相続が求められ、

不在者にとって不利益になる条件のものに同意することはありません。

 

必ずその人の分の預貯金はとっておかねばなりませんし、不動産に共有名義が残ることになります

 

望まない遺産分けになるうえに、時間も費用もかかる。

二度手間だし、あまり使い勝手の良くない制度ですね。

他には、探偵事務所に捜索依頼する方法もあります。

 

なので

もし行方不明者がいる場合は、認知症の人がいるとき同様に

その人以外に財産をあげる遺言書を作る。

 

なぜか。遺言書は相続人全員の署名捺印がいらないから。

 

この面倒な手続きと望まない分割を避けることができるのです。

 

  →本当に遺言書のとおりに分けられる?

 →遺言書 7つの誤解その1